2018年9月30日 (日)

皮膚病雑記帳No.217

近年の尋常性乾癬の西洋医学的治療と漢方治療 

 重症の尋常性乾癬の治療は近年、生物学的製剤を使った抗体療法が花盛りです。開業医には副作用が出た際のコントロールが難しいため、その治療は大学病院や基幹病院の皮膚科で行われています。また開業医でも処方可能な、尋常性乾癬の患者さんで低下しているcyclic AMPを上昇させる内服薬のアプレミラスト(オテズラ)も1月程度で劇的に効く症例があります。これまで使っていた外用剤が不必要になるケースもあります。

 これらの治療に共通しているのはある異常なポイントだけを捉えて、そこを攻撃すれば治るという発想で薬剤が開発され使われていることです。従来からの、原因を見つけそれを除去するという西洋医学的発想によるものです。現在これらの治療が隆盛していますが、長期間の観察期間が過ぎて思いもかけない副作用が現れないか心配です。

 ところで尋常性乾癬にこれまで大柴胡湯、温清飲、桂枝茯苓丸などの漢方薬を処方して有効な患者さんがいました。効果が出現するのはかなりゆっくりで、患者さんにはもどかしいかもしれませんが、西洋医学的治療のような副作用が出る可能性は低く、体に優しい治療です。

 劇的に効く西洋医学的治療とじっくり効く東洋医学的治療を、上手く組み合わせて治療できればと思います。

2018.9.30記載

2018年8月30日 (木)

皮膚病雑記帳No.216


西洋薬にも証がある


 ツムラ社の医学雑誌、「漢方と診療」の最新号を読んでいたら、大分の織部和宏先生の連載コーナーのタイトルが「西洋薬にも証がある」となっており、興味を覚え読んでみました。

証と言えば、漢方の重要用語になりますが、西洋薬の降圧剤の中には顔がほてったり、鎮痛剤の中には体を冷やしてしまうものがあります。そのような薬剤特有の性質を西洋薬の証と捉えておられるのだと思います。

 副作用が出た場合に薬を止めてしまえば済むことですが、その薬がよく効いていて、どうしても止められない場合などには我慢して服用しているケースもあります。織部先生はそういった副作用を軽減したり、消失したりするのに漢方薬で対応されています。降圧剤で顔がほてる患者さんには黄連解毒湯を、鎮痛剤で体が冷えてしまった場合には真武湯を処方されているようです。文中に患者さんの副作用の訴えに耳を貸さず我慢しなさいと言う、西洋医学一辺倒の開業医が登場します。近頃は自分の治療が一番と思っている医者が多いのかもしれません。

漢方薬で西洋薬の副作用に柔軟に対応できればと思います。皮膚疾患に処方する西洋薬には眠気や胃腸障害を起こしてしまうものが多いようです。これも西洋薬の証でしょうか。このような副作用を軽減できる漢方薬を探してみようと思います。

2018.8.30記載

2018年7月31日 (火)

皮膚病雑記帳No.215


間質と三焦

 6月に第69回日本東洋医学会学術総会が大阪で開催されました。いろいろと有益な講演を聴くことができましたが、最も印象に残ったのは、あるシンポジウムの中で聴いた、間質と三焦が同じものであるだろうという内容でした。

間質とは生体内のある機能をもつ組織や器官などの実質を、支えたり結合させたりする組織、血管や神経などを含むとなっています(大辞林より)。今年の3月に科学誌『Scientific Reports』に人間の器官で最大とされてきた皮膚を上回る大きさの、新たな器官が発見されたことが報告されたことが話題になっています。全身の細胞同士の間にある空間の「間質」と、それを満たす体液「間質液」を器官に格上げしようとされています。

 また三焦とは、現代医学にはない器官で、その働きは津液(水)を臓腑に巡らす作用を司る腑と考えられています。腑としての三焦の実体については古来より論争されていますがいまだ定説はありません。その機能と部位から考察すると胸膜や腹膜などの膜組織を指しているにではないかと考えられているようです(高山宏世著、弁証図解 漢方の基礎と臨床より引用)。

 西洋医学における間質は東洋医学における三焦と若干異なるものの、ほぼ同じものを指しているようです。東洋医学がすでに数千年前に三焦を臓器と捉えていたことを、ようやく西洋医学が間質を臓器として認識したことは、西洋医学が東洋医学に少し追いついてきたのかなと思ったりします。

2018.7.31記載

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