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2009年6月30日 (火)

皮膚病雑記帳 No.106

宮本武蔵の二刀流

 宮本武蔵は誰でも知っている二刀流で有名な剣豪です。秀吉の時代に生まれ、関が原の合戦、大坂の陣、島原の乱に参戦し、徳川三代将軍家光の治世の時に世を去りました。

 ところで皮膚科の漢方治療では標治(現在ある症状を治療すること)、本治(症状の元となっている体質を改善したり、原因を除去すること)が大変重要です。先日、耳鼻科の漢方治療(めまい、耳鳴り、花粉症など)の講演会があり聴きに行きましたが、やはり標治、本治の両方で治療しているようで、科が異なっても考え方は似ていると感じました。

 たまたま何かで宮本武蔵が二刀流で構えている絵(剣豪のはずなのに、どこかしょたくれた感じの絵だったのですが)を目にした時に、標治、本治とこの二刀流がオーバーラップしました。二刀とは太刀(大きく長い)と刀(小さく短い)のことです。太刀で主に敵と戦い、最後に刀で急所を刺します。。ちょうど標治が太刀、本治が刀に相当するのではと思いました。太刀で敵と戦うも、なかなかやっつけられないのはいろいろ標治の漢方薬を使ってもすっきり良くならないのと似ています。刀(本治の処方)を用いればすっきり良くなり、うまくいけば完全に治ってしまいます

 太刀だけではなかなか太刀打ちできないのかもしれません。

2009.6.30日記載


2009年6月26日 (金)

看護師さん募集

パートの看護師さんを募集しています。詳細はTEL0852-22-2235まで.

2009年5月31日 (日)

皮膚病雑記帳 No.105

君臣佐使(くんしんさし)

 漢方薬はいくつかの生薬から構成されていて、最少は2種類から、最多は20種類近くのものまであります。それらの生薬は働きによって4つに分類され、君薬、臣薬、佐薬、使薬と呼ばれています。
 君薬は中心となる役割をするもので、主役となります。
 臣薬は君薬の補助をし、その効果を増強します。
 佐薬は臣薬と共に君薬を助ける作用と副作用を防止します。
 使薬は佐薬の補助薬として働くと共に漢方薬中の諸薬を調和する働きをもちます。さらに引経薬として、諸薬を直接病巣局部に導く作用を果たしていることもあります
 この君臣佐使の生薬を各漢方薬について知っていることにより、知識が深まり、また併用時の過剰投与などの危険性を減らすことができます。
 上下の関係が厳しかった昔の武士社会なら君臣佐使の役割は非常に重要であったと思われますが、現代では君臣佐使という言葉は風化してしまっているようです。 漢方だけは君臣佐使の世界が残って欲しいものです。(高山宏生著 漢方常用解説を参考)

2009.5。31日記載

2009年4月30日 (木)

皮膚病雑記帳NO.104

●スポロトリコーシス

 カビによる皮膚病の一つにスポロトリコーシスという珍しい病気があります。皮膚の表面ではなく、深い層までカビが侵入し大きなしこりを作ります。カビは土の中にいるので、土に接触する機会の多い、農業、土木業、園芸業の人、また子供などに発症します。また発症部位は傷をつくりやすい手、腕、顔などです。

 2年ほど前にスポロトリコーシスの症例に出くわしました。61歳の男性で、職業は建設土木業です。左手背、左前腕の鶏卵大から小指頭大の紅色のしこりを数個認めました。16年前に発症し、次第に大きさ、個数が増加しました。施設に入居しており、また施設を転々としていたため十分な診療を受けることができないでいました。初診時には診断がつかず、一部を採って顕微鏡検査をしたところ肉芽組織をみとめスポロトリコーシスが疑われました。さらに組織培養を行い、やっと診断が確定しました。抗真菌剤を内服してjもらい、皮疹は次第に縮小傾向にあります。

 16年間も放置されていたのは非常に稀で、施設に入居していたという特殊な事情でカビと共生することになったようです。

2009.4.30記載

2009年3月31日 (火)

皮膚病雑記帳NO.103

●故障するレーザー機器

 
レーザー治療は最近では皮膚科でも盛んに行われえるようになってきました。当院でも3種類のレーザー装置を揃えていろいろと治療を行っていますが、導入して5~6年経つとどこか故障してしまいます。

5~6年はちょうど機器のリース期間が終了する時期で、ほっとした所に、故障して新しい機器を購入するか、高い修理代を払ってそのまま使うかということになります。5~6年後に新しく購入か修理してそのまま使うかと迷うところは、ちょうど自家用車の場合に似ています。

 当院では半導体レーザー(アトピー性皮膚炎、帯状疱疹後神経痛、円形脱毛症、白斑などに使用)、CO2レーザー(いぼ、小さなほくろ、しみに使用)、美容用レーザー(にきびあと、たるみ、しみ、脱毛などに使用)の3台のレーザーを使っています。もっとも故障が少ないのは半導体レーザーですが、ちょうどリース期間の終わるころにバージョンアップした新製品が出てくるため、つい新しいのを購入してしまいました。美容用レーザーは最近故障して買い換えるか修理するか迷いましたが、それほどバージョンアップしてなかったので高い修理代を払いそのまま使うことにしました。

 リースが切れる頃を見計らって新しい機種を開発してくるメーカーはなかなか賢明です。レーザー機器が故障しなければやりくりがとても楽なのですが。

2009.3.31記載

2009年2月28日 (土)

皮膚病雑記帳NO.102

●六君子湯

 
六君子湯(りっくんしとう)は食欲不振や胃もたれなどの上部消化管の症状によく使われる漢方薬ですが、消化器症状と関係ない症状に使われることも結構あります。さまざまな病態に応用可能な奥行きの深い漢方薬です。

 漢方薬は病名投与ではなく使用目標(いわゆる証)を決めて処方しないと効果はよくありません。六君子湯が奏功しやすい目標をあげます。
 すこし難しい表現ですが、脾胃気虚に痰飲をかねる証になります。脾胃気虚とは胃腸の消化吸収能力が衰えて身体に必要な気を運ぶことができなくなった状態です。また痰飲とは気道や消化管に貯留した非生理的な液体のことで、漢方では水毒の一症候と解釈されています。体質的にはやせ型で無気力、腹部は弱く振水音(指で心下部を叩くいた時にでるチャプチャプした音)を認めることが多いようです。また脾が弱ると肝が昂ぶることになるので六君子湯で脾をきたえると肝がおさまりストレスが減ることになります。

 心療内科的にはストレスによるうつ傾向を改善したり、軽い神経性無食欲症にも有効なことがあるようです。皮膚科的には四肢の紫斑やにきびに有効なことがあります。

 応用範囲の広い六君子湯は漢方薬の中でも特に興味深い処方の一つと言えます。


2009.2.28記載

2009年1月31日 (土)

皮膚病雑記帳NO.101

●駆瘀血剤にもいろいろ

 漢方治療をしていて瘀血剤の重要性をよく感じます。皮膚疾患には瘀血(血の流れが停滞した状態)が関連したものが多く存在します。 アトピー性皮膚炎はもちろん、にきび、しもやけ、手あれなどいろいろと瘀血が関連した皮膚病があります。
 
 ところで瘀血剤には数種類あり、どれを選択するか迷うところですが、各医師によって処方のイメージがあり、また好んで使う処方があります。私の場合、当帰芍薬散、桂枝茯苓丸、桃核承気湯、温経湯、通導散などをよく使っています。
それぞれの特徴をあげます。

1.当帰芍薬散。やや虚証の人で、色白、もの静かなタイプの人に処方することが多い。にきびの人ではいわゆる白にきびが多い。
2.桂枝茯苓丸。瘀血剤のなかで最もよく処方しています。守備範囲の広い漢方であたりはずれが少ないと言えます。瘀血であればまずこれをといった漢方薬です。瘀血剤を一つおいておくならこれがよいでしょう。にきびの人では青っぽい色のにきびが多い。
3.桃核承気湯。やや実証の人で便秘傾向の強い人。
4.温経湯。手あれやしもやけの人で瘀血を認めた人によく処方します。唇がかわくなどの症状の人が多い。
5.通導散。桃核承気湯よりさらに強力な瘀血効果があると思われます。ただし有効範囲が狭く、合わない人も多いが、合えばかなりの効果があります。アトピー性皮膚炎にもときどき使っています。ぴったり的が合えば非常に良い漢方薬だと思います。

 ぴったり証が合えばよく効くのが漢方薬の特徴です。何十、何百と処方を重ねていくうちに自分なりのイメージができていくと思います。

2009.1.31記載



2008年12月31日 (水)

皮膚病雑記帳NO.100

●インぺアード・パフォーマンス

 痒みを抑える抗ヒスタミン剤の中には服用すると眠気を生じるものがあります。痒みがおさまっても眠気が出てしまうようでは忙しい現代人にはあまり良い薬とは言えないかもしれません。
 インぺアード・パフォーマンスとは訳すと『損なわれた能力』ということになりますが、本人の自覚の有無にかかわらず生じる集中力、判断力、作業能率の低下した状態を示します。何となくぼうっとしている、能率が上がらないなどがそういった状態と思われます。主観的な眠気とは異なり自覚しにくいため、車の運転や重要な作業で危険性がより高いと考えられています。米国では中枢抑制作用を来しやすい抗ヒスタミン剤を服用して運転すると処罰される洲もあるくらいです。従来の眠気を生じやすい抗ヒスタミン剤は当然インぺアード・パフォーマンスも生じやすいわけですが、また眠気はなくてもインぺアード・パフォーマンスが生じていることもあります。
 最近このインぺアード・パフォーマンスが生じにくい抗ヒスタミン剤がかなり処方されるようになってきました。一般的には眠気のある抗ヒスタミン剤のほうがよく効くと思われがちですが、実際そうではなく眠気の出にくい薬も結構効きます。ただ個人差があってこの患者さんにはこれが合うというようなことがよくあるので、ある薬が効かなければ他のものに変える必要があります。また1剤で効かなければ2剤を服用することもあります。
 これからの社会では、車が環境に優しいものが出てきているように、薬も飲んで人間に負担にならないような方向でますます開発されていくと思われます。

2008.12.31記載

2008年11月29日 (土)

皮膚病雑記帳NO.99

●新しいにきびの薬

 先月末にディフェリンゲル(一般名アダパレンゲル)という新しいにきびの外用薬が処方できるようになりました。
 これまでのにきびの治療として抗生剤の内服、外用、漢方薬の内服、ケミカルピーリング、レーザー照射などを行ってきましたが、このディフェリンゲルという外用薬の特徴は皮膚の角化を抑制する効果があり、毛穴が詰まり難くすることによりにきびの発生を抑えるという点にあります。ケミカルピーリングの効果に似ています。また炎症を抑える効果もあります。
 海外では16年も前から使われていて、にきび治療のファーストチョイスになっていますが、日本では臨床試験で刺激感が強かったため途中で試験が中止になり、開発が遅れてしまっていました。少し薬物の構造を変えることで刺激感が少なくなりやっと日本でも使えるようになりました。
 先月末から数十人の患者さんに処方していますが、従来の抗生剤より効果の良し悪しがはっきりしているようです。効く人には非常にシャープに、効かない人はまったく効かないという感じです。また刺激感や発赤がある患者さんもいました。ただ少し刺激があっても我慢して4週間くらい連続して使用すると効果が出てくるようです。この点は10年ほど前に出たアトピー性皮膚炎に処方する免疫抑制剤のプロトピックに似ています。
 いずれにせよ効果がはっきりしてきて、どういう使い方がもっと良いかなどがわかるにはもう少し時間がかかりそうです。

2008年10月30日 (木)

皮膚病雑記帳NO.98

●山本巌の漢方医学
 
 漢方医学を少し勉強すると山本巌(いわお)という漢方の大家を知ることになります。山本巌は7年前に77歳で亡くなっています。 大阪で漢方医学を駆使して多くの患者さんを治した名医でした。
 
 彼の漢方医学の特徴は
1.漢方を科学化して、再現性と客観性の高いものを目指していたところにあります。漢方薬の成分またはその組み合わせの薬理作用を十分考慮した上で治療していました。

2.効果判定には患者さんに漢方薬を飲んでもらってすぐに判定するという実証主義的方法を用いました。例えば来院したアレルギー性鼻炎の患者さんに麻黄附子細辛湯を服用してもらって5分、15分経って効果を判定していました。漢方薬はそんなに早く効くのか不思議と思いますが、肩こり、腰痛、めまい、頭痛、腹痛などもそういう判定をしていました。

3.西洋医学の良いところは取り入れ、また漢方医学には流派があるのですが、それにこだわらずに良いものはどんどん取り入れる姿勢がありました。現代の日本漢方の集大成のような治療を科学的にされていたようです。内科医なのに皮膚科の病理学、臨床などにもかなり詳しくアトピー性皮膚炎、蕁麻疹などのアレルギー性疾患や乾癬などの難治性疾患をかなり治療されています。西洋医学の知識をもった上で漢方を科学的にとらえ実践された現代の漢方の名医と呼べるでしょう。

 山本巌先生には多くの弟子がいてその治療のやり方が受け継がれ実践されています。最近の私の処方も補中益気湯や通導散といった山本巌先生の処方をかなり参考にしています。
 

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